アナリストの種類

①セルサイド・アナリスト

セルサイド・アナリストとは証券会社に所属する証券アナリストを示し、一般的にアナリストと呼ばれる場合はセルサイド・アナリストを指す。彼らの発行するアナリスト・レポートは、証券会社の顧客である個人投資家や、大口顧客である機関投資家(バイサイドと同義)に対するサービスとして、当該エリアへの調査報告をするという趣旨で作成される。つまり投資家が投資先を選定する際の情報提供をすることで、売買をサポートし、自社への証券手数料収入を拡大させることが業務の本質的な目的となっている。
より質の高いアナリスト・レポートを作成するために、各分野に精通した人材を求めており、しばしば事業会社で実績のある人物が当該エリアの専門家としてセルサイド・アナリストへ転職するという例も見られる。日経ヴェリタス他、複数のメディアから、機関投資家からの人気投票によるランキングとして「アナリストランキング」が発表されるが、ランキングの上位に入ることによりアナリストとしての評価が上がることが散見される。

 

②バイサイド・アナリスト

バイサイド・アナリストとは銀行系、証券系、生損保系、独立系などの資産運用会社に所属する証券アナリストを示す。ファンドマネージャーと合わせて機関投資家(バイサイドと同義)と呼ばれる。彼らの発行するアナリスト・レポートは、自社のファンドマネージャーが投資先を選定する際の情報提供をすることで、ファンドの運用成績向上に寄与をするという趣旨で作成される。セルサイド・アナリストのアナリスト・レポートが言わば公共性のあるレポートであることに対比して、バイサイド・アナリストのアナリスト・レポートは機密性の高い情報であり、その内容が公になることはない。それは自社に運用を委託している顧客(投資家)のためだけに調査報告をするという趣旨で作成されているためである。
セルサイド・アナリストからバイサイド・アナリストへ転職する例も見られる。またバイサイド・アナリストがファンドマネージャーとなることは、ひとつのキャリアパスとして認知されている。

③独立系アナリスト

セルサイド、バイサイドのどちらにも所属しない独立系アナリストも存在する。海外においては、エンロンワールドコムの破綻以降、大手投資銀行における投資銀行部門とアナリストの癒着関係が問題視され、独立系アナリストが一定の位置を占めるようになった。(参照:米山徹幸「アナリストカバレッジの現状と課題」45-47ページ)国内においては、シェアードリサーチやTIWに所属するアナリストがその例である。